紙は再利用、アイデアは常に新しく

「グローバルに考える」。これがケルヒャーの流儀です。サステナビリティマネージャーという役職は、世界中のケルヒャーの拠点で足並みを揃えてサステナビリティに取り組むことを目指して設けられました。その仕事にはどのような意義があるか、また克服すべき地域特有の課題にはどのようなものがあるか、3人のマネージャーが語ります。

世界各地のサステナビリティマネージャー
„中国は持続可能な開発を推進します“
ケルヒャー・チャイナの品質&サステナビリティマネージャーのチーフを務めるアーロン・ファンは、11年以上前から品質管理を担当しています。

  

ファンさん、サステナビリティに関する中国独特の課題には、どのようなものがありますか?

中国経済は近年、急速に発展しており、それに伴って環境や限りある資源が大きな損害を受けました。これを受け中国全体でサステナビリティと環境保護の重要性がますます認識されてきています。環境保護運動は、企業によるものも公共団体によるものもどんどん盛んになっています。この問題に関してはケルヒャー・チャイナもすでにしっかりとした足跡を残していると思います。

ケルヒャー・チャイナにおけるサステナビリティの向上に向けて、あなたが取り組んだ措置としては例えばどのようなものがありますか?

中国では多くの場合、サービス供給業者やサプライヤーはサステナビリティと環境についてまだ直接取り組んでいません。そのため、新規サプライヤーと既存サプライヤーの両方に対してサステナビリティと環境に関する教育を行うことに、私たちは特に注意を払っています。状況が許せば、つまり例えば距離的に可能であれば、私たちは現場でワークショップを開催して、関心を持っている他の部門の同僚に私たちの工場内で社内研修を提供することもあります。さらにグローバルなケルヒャー調達ガイドラインに基づいて、契約締結前に必ず資材管理をチェックし、その後も定期的にサプライヤーの仕事をチェックしています。

ケルヒャー・チャイナで現在、重点を置いていることは何ですか?

私たちにとっては予防措置がとりわけ重要です。私たちは生産とサプライチェーンにおいてすでにサステナビリティと環境保護に留意しています。関連規格の点では私たちはケルヒャー・グループの中央の規定に従っています。つまり、多くの場合、他の中国企業に先んじています。例えばデジタル化に関して私たちのオフィスは非常に進んでおり、例えば紙の消費量を大幅に削減しています。また資源保護などをテーマとして、社員研修を行っています。同僚たちはこうしたテーマの推進にとても意欲的で、私も彼らをたいへん誇りに思っています。

Kaercher_Sustainability_Manager_KTC_Aaron_Fang

  

„持続可能な生活をしようすると、新しいことを頻繁に試みるようになります“
テレーザ・パインティンガーは、ケルヒャー・オーストリアのCRMプロジェクトマネージャー兼サステナビリティを2015年から担当しています。
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パインティンガーさん、オーストリアでサステナビリティはどれほど重要視されていますか?

他の国に比べると、オーストリアでは間違いなく大きな価値が認められていると思います。ごみの分別、リサイクル、エネルギー効率といった点では近年大きな進展がありました。特に再生可能エネルギーの分野では水力に関して、オーストリアという立地には大きな利点があります。オーストリアの人々は環境について高い意識を持っています。そのことは私の同僚たちを見ても分かります。彼らはケルヒャーがさらに持続可能になることを望んでおり、そのために自ら積極的に行動しようとしています。これもとても重要なことです。なぜなら、例えばCO2を削減するにしても、しなければならないことはまだまだたくさんあるからです。

サステナビリティマネージャーとして、従業員の関心とどのように関わっていますか?

私自身としては、サステナビリティマネージャーの機能はあらゆる領域にまたがる横断的なものであり、サステナビリティをめぐるあらゆるテーマの連絡窓口であると思っています。そのため私がまず試みたのは、幹部職員や従業員との対話です。そうした対話を通じてさまざまなアイデアや提案を聞き取っていきました。この試みに対する反響は上々でした。対話を行った結果、サステナビリティに関心を持つ同僚が集まってフォーカスグループが結成されました。現在私たちは対策リストの作成に取り組んでいます。私は定期的にニュースレターを発行し、社内と社外におけるサステナビリティに関する最新の展開について同尞たちに情報を伝えています。

あなたから見て、現在特に話題のテーマにはどのようなものがありますか?

私の最初のテーマのひとつがリチウムイオンバッテリーの廃棄とリサイクルでした。ケルヒャーの製品ラインナップにはバッテリー式の機器がますます増えているので、これは非常に時事的なテーマでした。危険物・廃棄物担当者と緊密に連携して、ある会社を見つけ、その会社に委託してケルヒャー・センターに回収所を作り、選別からリサイクルにいたるまで適切な廃棄処分を行うようにしました。これによってバッテリー原料の少なくとも75%を再利用に回すことが可能になりました。

 

„私たちはブラジルの他の大企業と、サステナビリティや環境について絶えず意見を交わしています“
ジェシカ・レアル・ファリアはケルヒャー・ブラジルの統合管理アシスタントエンジニア兼サステナビリティマネージャー。2013年からケルヒャーで品質・環境アナリストを務めています。

 

  

 

レアルさん、ブラジルで、そしてケルヒャーで、サステナビリティマネジメントについて特筆すべきこととは何でしょう?

ブラジルでは環境問題やサステナビリティについて、人々の間でまだそれほど理解が広まっていません。ですから同僚の間でも顧客や第三者に対してもビジョンを作って分かち合い、注意を喚起しようとしてもなかなか難しいことがあります。このことはごみの分別やリサイクルといったテーマですでに明らかです。ブラジルではたいていの場合、それが重要であるとは思われていないのです。

そのためケルヒャーでは環境、サステナビリティ、品質に関するテーマを新入社員の研修に直接取り入れています。そこでは職場で紙の使用を減らす、飲料容器としてプラスチックの替わりにガラスを使う、といった取り組みについて説明しています。

ドイツ本社の規定に合わせることによって私たちはブラジルで定められているよりも高い水準を保持しています。例えば生産現場でもオフィスでも、紙、ガラス、プラスチック、生ごみなど私たちはさまざまな種類のごみを分別しています。生産部門は現在デジタル化を進めているところで、紙の使用を完全になくすことが目下の課題となっています。ここでもブラジルの他の企業に比べれば、私たちはずいぶんと進んでいます。

あなたの目から見て、このテーマに対する意識に変化はみられましたか?

サステナビリティに対する意識はここ2年の間に大きく成長しました。それも一般社会だけでなく、企業においてもますます戦略の柱とみなされるようになっています。ケルヒャー・ブラジルではサステナビリティや環境について、ブラジルの他の大企業と絶えず意見を交わし、共通の理念を形成しようと取り組んでいます。

サステナビリティを推進するために、どのようなことを計画されていますか?

私個人としては家族、友人、同僚の間でもこのテーマについて理解を深めることが重要であると考えています。ブラジルでごみの分別やリサイクルについて分かってもらうのはとても大変です。例えば、ブラジルには路上でごみの仕分けをして働いている人たちがいます。私たちがごみをそのまま路上に出さず、家庭やオフィス内で分別すると、ブラジルでは私たちがそうした人たちの仕事を奪っていると多くの人は考えるのです。そこでケルヒャーでは、従業員のための環境週間を計画しました。これは、1週間にわたってサステナビリティというテーマをめぐって研修、会合、催しを実施するというものです。ここから始めて、いずれはサービス供給業者やサプライヤーに対する研修へと拡大していきたいと考えています。

私にとって大きな刺激となったのがケルヒャーのサステナビリティを語る朝食会でした。ここではさまざまな部門や国の人々と出会う機会が得られました。地位や立場の異なる同僚と意見を交わすのはとても有益で刺激になると感じました。

 

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