お客様導入事例|ケルヒャー温水除草システム®
ケルヒャー業務用製品を導入していただいたお客様の事例をご紹介いたします。

ケルヒャー温水除草システム® 導入企業:株式会社畑中工務店様約8,000m2のインターロッキング(ブロック)舗装の除草に頭を悩ませて
仙台市を中心に、仙南・仙塩地域の8市9町に水道水を供給する「宮城の水がめ」――七ヶ宿ダム。
水道用水をはじめ、農業用の灌漑(かんがい)用水の供給や、洪水を調節する重要な役割を持つ、宮城県随一、東北でも最大級のダムの1つだ。
国土交通省直轄の、この七ヶ宿ダムの維持・管理を継続的に受注しているのが、株式会社畑中工務店である。
その業務は、流木の処理や道路清掃、緊急時の巡視など多岐にわたるが、中でも年々大きな悩みのタネとなっていたのが「除草」であった。
ダムの敷地内は、約8,000m2のインターロッキング(ブロック)舗装で、周囲の緑豊かな環境と調和する美しい舗装が施されている。しかし、このブロックの目地から繁茂する雑草の処理に手を焼いていたのだ。
「肩掛け式草刈り機を使って、ブロックの上に出ている草を刈っていくのですが、ブロックの上は刈れても根は残っているので、すぐにまた伸びてきてしまいます。年々、雑草の勢いは増すばかりで…。しかし、毎年の(除草施工に対する)設計歩掛(ぶがかり)は変わらず、負担が重くなっていました」と、監理技術者の塩沼氏は話す。
草刈り機での除草は危険を伴う作業で、それもネックになっていた。
「ブロックの上で草刈り機を使うと、高速回転する刈刃(ナイロンコード)によって、飛び石が発生します。そのため、周囲に石が飛ばないように、作業中は飛び石をガードする人員も必要で、1回の作業に多くの人員を要していました」
飛び石は、当たれば車のフロントガラスにひびが入るほどの勢いで、20m近くも飛ぶという。そんな危険と隣り合わせの草刈り機を扱うには、安全講習を受講することも必要で、しかも熟練していないと、ブロックの表面にナイロンコードカッター本体を当て過ぎてしまい、すぐに破損させることもあるため、人員の選定も悩みのタネであった。
さらに、ダムならではの事情があった。水道水を供給する「命の水がめ」である以上、ダム湖の水質や環境、人体の安全を守るために、除草剤は散布できないのである。
年に3回行う除草施工。肩掛け式草刈り機や人力除草(手刈り)に代わる工法はないかと、塩沼氏は模索していた。
七ヶ宿ダムは、阿武隈川水系白石川(宮城県刈田郡七ヶ宿町)に建設された、国土交通省直轄の「中央コア型ロックフィルダム」だ。
七ヶ宿ダム湖のシンボル、大噴水を望む。春から秋まで、1日7回見ることができる。噴水にはダムの水を撹拌し水質を保全する役割がある。

「命の水がめ」ダムの水質を守りながら、高い効果を確認
2020年、ケルヒャー社員から、100℃近い高温水を散布して植物の根のタンパク質構造を変異させ、雑草を根から枯らすという「温水除草システム®」の提案を受けた塩沼氏は、当時のことをこう語る。
「飛び込み営業でケルヒャーさんが来られましてね。話を聞いてみると、お湯だけで根から除草できて、環境を汚さない温水除草システム®は、除草剤が使えないダムの管理にちょうどよい工法だと思いました。自分でもインターネットで工法を調べてみて、すぐに発注者である七ヶ宿ダム管理所に、試験施工を願い出たのです」
そこから、ケルヒャー社員による試験施工を重ね、効果を確かめていった。2020年10月、11月、翌21年4月と、計3回の試験施工を行い、効果が認められたことから、2021年度から提案という形で導入、2024年度に正式採用に至った。
ブロック舗装の温水除草の様子。導入前は、草刈り機だとすぐに草が伸び、除草剤も使えないため、除草に頭を悩ませていた。

除草にかかるコストを4年間で30%削減
七ヶ宿ダムの現場では、水を入れたタンクと温水高圧洗浄機「HDS 1000 BE」をトラックに乗せ、作業者・運転手・ホース補助の3人体制で施工している。
温水の散布はお風呂のシャワー程度の勢いのため、飛び石のように周囲を危険にさらす心配もない。
そのため、草刈り機で施工していた頃は、飛び石対策も含めて5~7人体制で施工していたが、作業員を約半数に減らすことができた。
さらに温水除草システム®施工後は、枯れた草はそのまま風雨で取り除かれるため、刈り取った草を収集・運搬・処分する手間もなくなった。
導入初年度は、作業員も新しい工法に慣れておらず、試行錯誤の連続だったというが、次第に慣れ、また、タンクを大きい物に変更して長時間の連続使用ができるように工夫するなど、温水除草は、回を追うごとに効率化されていった。
「これまでの草刈り機による設計歩掛を1とすると、導入した初年度は、作業員の不慣れもあって、1.8くらいまでコストが上がってしまいましたが、4年後の2024年には0.7になり、30%のコストダウンを実現しました」と塩沼氏。
温水除草システム®は、ボイラーで沸かした高温水を、シャワーノズルのアタッチメントから5 秒ほど草に当てることで枯死させる。根が太く深い草でも、枯れてから再び繁茂するまでのサイクルが長くなるため、これがコストダウンの大きな要因になっているという。
「雑草の成長スピードが遅くなり、雑草そのものが年を追うごとに減っているんです。ですから、施工コストは今後も長期的に減少していくはずです」
温水を5秒ほど当てると、1週間程度で草が枯死し、そのまま風雨で除去される。タンポポのような根が太く深い草でも、繁茂までの期間が延びる。
【定点記録1】2021年5月。温水除草導入前。雑草がブロックの目地から生い茂っている。
【定点記録2】2022年4月施工前。前回施工から6カ月が経過しているが、目地の草は枯れたままだ。
【定点記録3】2024年4月施工前。目地から草は生えておらず、明らかに草が減っている。除草と同時に、温水でブロックも洗われているせいか、より美しく見える。

国土交通省「NETIS」登録の新技術として、国から認められるように
2024年12月、ケルヒャーの温水除草システム®は、国土交通省の「NETIS(新技術情報提供システム)」に登録された。NETISとは、公共工事において新技術や新商品の導入を促進し、業界の生産性向上や技術革新を支援するための制度である。
塩沼氏は、長らく温水除草システム®の登録を待ち望んでいたという。
「NETISに登録された新技術を採用すると、その技術を導入した事業者が評価される仕組みになっています。私たちのような公共工事を行う会社にとってはメリットが大きい。NETIS登録前から温水除草システム®を使ってきましたが、今年度(2025年度)からはそれが評価につながります。NETIS登録をきっかけに、温水除草工法がさらに広まっていくといいですね」
今後の展望を伺ってみると、これまで施工してきたブロック舗装部や石張り部以外の場所にも、温水除草を広げていきたいとのこと。
「導入当初は、新しい工法にあまり乗り気でなかった作業員からも、今ではダムの様々な場所で、“ここも、温水除草でいけるんじゃないか?”という話が出てくるようになりました」
七ヶ宿ダムは自然公園を併せ持ち、春は花見客で賑わう。また、ダムの施設見学やイベントも人気だ。観光スポットとしての美しい景観を維持することもまた、大切な仕事である。
温水除草システム®は、除草コストの削減はもちろんのこと、七ヶ宿ダムが「行ってみたくなるダム」であり続けるための “縁の下の力持ち”として、なくてはならない存在となっている。
ダムの敷地は広い。まだ温水除草を行っていない場所でも使っていきたいという畑中工務店のメンバー。
株式会社畑中工務店様導入インタビュー動画
株式会社畑中工務店様の「温水除草システム®」導入インタビューを、動画でもご覧いただけます。
導入製品
製品ページで製品スペック、カタログをご案内しています。
お客様導入事例一覧
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